日記

ツイッター@midnight_s0y

far in the blue sky... [29Another](8/29)

www.youtube.com

 改めてプレーすると29譜面は前衛的すぎる。ゲージは重いし、押しづらい配置が多くて爽快感に欠けるしで、やっていて楽しいものではない。音楽ゲームの譜面制作において”演奏感”を求められることがあるけれど、29譜面はギターを初めて触った時にFコードが押さえられないみたいな、楽器を演奏する時のうまくいかなさを体験させられているみたいだ。

 しかしある意味、プレーヤーの常識を裏切るような譜面でもある。ゲージが普通に回復して、所々で押しやすい配置があって……といった、できのいい譜面をやってきたプレーヤーを煽り立ていて、思わず「なんだこれ」と言いたくなる譜面をしている。far in the blue sky... [29Another]はそんな譜面の好例だろう。

 

 この譜面はよくわからない皿が置かれていたり隣接配置を徹底的に排したりしており、序盤からやたらと押しにくい。

 しかし、この譜面が本領を発揮するのは、後半のサビからで、対象配置が容赦なく牙を剥く。配置自体は単純で重くもなんともないのだが、トリルと縦連が超厄介。狙ったにしては上手くいきすぎているぐらい叩きづらい。しかも皿複合も加減されることがないから、ますます面倒な配置になっている。

 ←対象配置

 ←67トリル崩れ

 そしてアウトロ前には、微縦連を混ぜた67トリル崩れの配置が置かれている。ここが対象配置以上に極めて押しづらい。トリルっぽい配置しているから誤認識を誘うし、偏りに偏った配置に微連打が加わっているからあまりに拾いづらい。ここで無残にハードを落ちした時は、嘲笑われている気さえする。意地悪な配置だ。

 

 そう、29譜面には、プレーヤーに嘲笑を投げかけている側面がある。サイト名も「こんなふめんにまじになっちゃってどうするの」だし、明らかに変な譜面もたくさんあるから意識的であるに違いない。

 対して発狂プレーヤーは地力を上げるために真剣に譜面を遊ぶ。それゆえ不真面目な29譜面によって愚弄されたように感じてしまうのだろう。隣接配置を徹底的に排した鍵盤、よくわからない皿複合、低トータル。それに微連打が絡むことだって多い。発狂難易度表でだって普通の譜面もあるはずで、そういった譜面群との温度差も大きい。積極的に手を触れたくなくなるのも当然だろう。

 ということは29譜面はプレーヤーが譜面と向き合う態度におもねってくれる譜面ではないということなのだと思う。できる限り楽しい譜面と出会って、効率よくレベルアップしたい人に向けて、押しにくさの煮凝りみたいな配置を使って自分の思想を押しつけてくるのだ。それは例えばすごく癖のあるクラスメートとか同僚とかと話す時のように、自分と全然違う考え方を持った人間と関わる時の感覚に似ている。だからこそ、29譜面を触った時にとっつきづらさを感じるのだと考えた。

 

 このようにコスパよく快感を得る時代に対するアンチテーゼのような譜面だが、far in the blue sky... [29Another]は個人的にいいところもあると思う。

 それは前述したサビの配置で、叩きづらいとかなんとか言ったところだが、ここの対象配置はやはりセンスがいい。というのも曲と妙にマッチしているというのもそうなのだが、時々崩しを入れているのがいい。ここの配置は同時に叩くときにプレーヤー側の推測を裏切るところでもあってやりにくさを作っている一要因でもあるものの、同じ配置を連続させないという意味ではとても面白い。それも対象配置を少しずらしたような形で置かれているから、配置の断絶とまではいかず、前後の配置と繋がりを伴ったまま差異を作っているのだ。

 というように、改めてやってみると面白いところもあるということだった。しかしながら、その後の67の配置はふざけていると思う。